この度、虎ノ門にて睡眠専門外来と呼吸器内科のクリニックを始めることになりました栁原 万里子(やなぎはら まりこ)と申します。睡眠にお悩みの皆さまにとって物理的にも心理的にも立ち寄りやすい、利便性に優れたクリニックにして参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
約20年間医師として勤務する中で、日本の睡眠の問題とその個人的および社会的な悪影響の大きさに気付かされました。睡眠には形がないため、今の臓器別に区分されている診療科の中でぴったり当てはまる診療科がありません。
たとえば過眠症やむずむず脚症候群、レム睡眠行動障害、概日リズム睡眠覚醒障害などの睡眠障害については、精神科でも一般内科でも小児科でもほとんど診療しておらず、診断や治療の機会を失ってしまう方々がおられます。
一方で不眠症については、日本では専門医に限定されずにどの診療科でも睡眠薬の処方が可能なため、諸外国と比べて治療開始のハードルは低いと言われています。その反面、「薬剤を使わない不眠症治療」や「睡眠薬の減薬・中止」などの専門的な手法が用いられないまま長期間にわたり複数の睡眠薬が漫然と処方されてしまうケースが見受けられ、転倒や睡眠薬依存、認知症リスクなどの副作用が問題視されています。
睡眠時無呼吸症候群については、呼吸器内科・循環器内科・耳鼻咽喉科・精神科・歯科・歯科口腔外科など幅広い診療科で取り扱われています。
睡眠時無呼吸症候群の治療の目的は、日中の眠気や集中力の低下、倦怠感などを改善し「日中パフォーマンスを回復させること」、高頻度に合併する高血圧・糖尿病といった生活習慣病や心筋梗塞・脳梗塞・狭心症などの心血管疾患や不整脈などの「健康寿命をおびやかす身体疾患のリスクを減らすこと」です。
しかしながら治療開始後にも残存する眠気や、高頻度に合併する生活習慣病の診断・治療は必ずしも行われているわけではありません。
私たちは小さなクリニックのため社会的に微力ですが、睡眠専門医・呼吸器専門医の2つの専門性と経験を活かしこれらの問題の解決に尽力いたします。必要時は近隣の各診療科の専門医と連携を取り、ご一緒に皆さまの健やかな毎日とリタイヤ後まで見据えた健康寿命を守りたいと考えています。