望ましい時刻での入眠・覚醒ができず、その結果、就学や就労に支障をきたしている状態を言います。概日リズム睡眠障害は睡眠障害国際分類第3版(ICSD−3)では7種類に分類されます。
臨床的に頻度が高いのは睡眠覚醒相後退障害です。
「朝なかなか起きられない」「無理に起きると体調が悪い」「日中に眠いのに夜になると目が冴える」「朝は食欲がないが夜は食欲がある」「明日に備えて早寝をしようとしてもなかなか寝付けない」などの症状があり、就労や就学に支障をきたし遅刻や欠席・欠勤の原因となります。鑑別疾患として、起立性調節障害やうつ病などが挙げられます。中高生〜30代の若年層に多い傾向にあり、体内時計が遅寝遅起きのリズムに病的にずれてしまった結果生じます。
高齢男性に多いのは、睡眠覚醒相前進障害(睡眠相前進障害)。「夜は早く寝てしまい、夜中〜早朝に目が覚めて二度寝ができない」という症状を呈します。こちらは体内時計が早寝早起きのリズムに病的にずれてしまった結果生じます。
非24時間型概日リズム睡眠覚醒障害は、毎日30分〜2時間ずつ入眠時刻や覚醒時刻が遅れていき、昼夜逆転と逆転していない期間を定期的に繰り返します。全盲の方に見られやすい疾患ですが、視力障害がなくても発症するケースもあります。
治療は睡眠衛生指導(生活や睡眠習慣を整える)と薬剤加療、ケースに応じて高照度光療法などを行います。治療により望ましい時刻での入眠・覚醒ができるようになると、就学・就労の状況、日中の眠気、自律神経失調症状などの改善が期待されます。